カエルニッキ

ド・ザイナー。

『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』


『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』を観て来ました。感想にネタバレあるかもしれませんので、未見の方はご注意です。

筋ジストロフィーという難病で、体の一部しか動かせない実在した人物の物語です。自らボランティアを募り、ずうずうしくわがまま言いたい放題の、自由奔放な彼と、彼に関わるボランティアとの絆を描いた映画になります。

心は自由、体は不自由な鹿野さん、プライベートのない常に誰かの世話にならなければ生きていけない状態というのに、ボランティアの人たちとは対等にある、という言い分が、変な壁を作らないという意味で、しだいに好感もてました。

図々しいわがままな注文するときの鹿野さんは、大泉さんならではのおもしろい空気になって、会場では何度も笑い声が聞こえました。役柄がぴったりだったとも思います。というか、ぴったりにしたのが大泉さんなのでしょう。体が動かせないから、カメラワークも繊細な表情を捉えていて、とても丁寧に撮られたシーンがいくつもありました。

特に呼吸器つけた後からの、大泉さんの体当たりな役作り迫力ありました。微妙な仕草や表情が、初めの頃にやっていた表現が活きてくるところとか、謎の"分かる"快感に襲われます。

高畑充希ちゃんのナチュラルなお芝居もよかった。NHKの「おげんさんといっしょ」で歌っていたのを見てから気になってた女優さんだけど、この映画で好きになりました。

病気のこと自体よくわからないで見に行きましたが、動かせないじれったさ、諦めずにもがいてみる、その貪欲に生きる様には、健常者は恥ずかしくなる部分も多々出て来て、余計な枷が浮き出て来たりも。そんな気持ちになる映画でした。

18.12.30