カエルニッキ

ド・ザイナー。

『ザ・モーニングショー』


2019年11月、Apple TV+立ち上げと同時に配信された『ザ・モーニングショー』シーズン1を見終わりました。見終わった後に、おもしろかった!と改めて思ったドラマでした。

感想にネタバレあるかもしれませんので、未見の方はご注意です。

『ザ・モーニングショー』は、朝の情報番組の人気キャスターの発覚したスキャンダルよって、ニュース番組の裏側で繰り広げられる、セクハラパワハラの闇に切り込んだ人間ドラマです。監督はミミ・レダー。監督が手がけていた『ピースメーカー』や『ディープ・インパクト』は好きな映画です。

とにかく強烈な個性の番組制作スタッフが多く、だいたい誰かがどこかでキレていて、その激しさに圧倒されます。そしてなぜそんなに感情むき出しで動揺するのか、理由は見ていくうちにだんだん明かされて来るのですが、とりわけ一番偉そうなアレックスの行動は、見初めの頃は引いちゃってましたw

混乱の中、新規採用された地方局出身のブラッドリーは「暴言の女王」と異名を持つモーレツお姉さんだけど、報道的視点の着眼点がとてもシャープで、信念があってかっこいいです。暴言さえなければ。

この人の、局に新しい風を吹き込む様子が、同じ視点のせいだからか、見ていて共感する部分が多かったです。ただ、これが荒療治もいいところで、真実がわかるたびにみんなが辛い目にあっちゃう。見ている方も含め、どれが正解だったのかわからないと思う場面も。

働く現場にいる女性視点からのエピソードが多く、ちょっとしたことなんだけど、すごく微妙で説明しにくい部分も、共感するところあり。とても繊細に表現されてていい作りだと思います。重すぎず、軽すぎず。

1シーズン全10話ですが、回を追うごとに、人の心がギリギリで変わっていく展開から目が離せなくなります。最終回はとくに驚くことがおこり、最後の10分は最高にエキサイティングでした。こんな熱い展開を用意していたなんて、作った制作陣に大拍手! 最後の10分何度か見てしまうぐらい気に入りました。

シーズン2は3月から製作が一時中断し、その後の進行は変更を余儀なくされているとのことで、先は読めないけれど、一応作っているとのことなので、楽しみに待っています。

あと、オープニングはクセになる。音楽もビジュアルも。毎回見てしまいます。丸はキャストの誰なのか、考えるのが楽しいです。


20.07.02

『泣きたい私は猫をかぶる』


『泣きたい私は猫をかぶる』を見ました。感想にネタバレあるかもしれませんので、未見の方はご注意です。

全く前情報なく見たら、久々感動アニメだった! しばらく映画館にも行っていないせいか、長編の物語をしっかり見るのは久しぶりのせいかもしれませんが、見終わった後の余韻が長かった。

後でスタッフを見たら、佐藤順一監督、岡田麿里脚本、窪田ミナ音楽 etc……。みんな好きな人ばっかり! 何度も同じ作品を作っているからか、ファンタジーの相性がすごく良かったのかもしれません。勝手にそう思っている。そしてやっぱり泣かされる。

ところどころ鼻につくようなセリフ回しや残酷な言葉、自分を丸裸にされたような恥ずかしい部分、それでいて憎めないところや、どうにもならない悲しい出来事が、たくさんからみあって、それをあったかく包んだうえで、前を向けるような方向に動き出す様が、とてもワクワク。心地よいファンタジーでした。

あと街の風景に、ところどころレンガの煙突や壺が並ぶ味わい深い壁の路地があって、やたら趣あるファンタジーかと思ったら、なんと実在する街のようでした。愛知県常滑市という妖怪みたいな名前の町です。いつか行って見たい場所がまたひとつ増えました。

本当は6月劇場公開予定だったけれど、現在はNetflixで配信中。

20.06.29

『アナイアレイション -全滅領域-』吹替版


『エクス・マキナ』(2015年)に続くアレックス・ガーランド監督・脚本映画『アナイアレイション -全滅領域-』(2018年)吹替版(リンク先はNetflix)を観ました。感想にネタバレあるかもしれませんので、未見の方はご注意です。

このハラハラとモヤモヤと進む感じは「エクス・マキナ』の監督と聞いて納得。やっぱりモヤモヤしますw このモヤモヤがけっこう好き。

あるていど異世界の生物ものを見ていたらだいたい察しがつくであろう、この生態系エリア。中心部に行くにつれて危険度と緊張感の濃度が高くなって行くこの興奮は期待を裏切りません。

途中、襲ってきた熊のようなイノシシのような凶暴な生き物のクリーチャーデザインは結構な迫力で、襲われた女性の最後の叫び声を受け継いでしまうとか、切ない設定。もしかして取り込んだ方は、意志の強く残ったところを受け継いでしまうのか。ちょっと哲学的です。

ケインが最後に"レナのところにもどる"思念をコピーに託したところ、無感情でただレナのもとへ向かうコピー。切ない。

この異世界の生物シマーは、宇宙から来たみたいだけど、侵略目的はないというのが劇中で言われるのですが、確かに本当にただ、存在しているだけ、生きるために生きている存在と言え、とても静かなホラーです。

コアな部分に近づくにつれて現れる、複雑に繁殖した世界は、艶やかで美しく、アート作品を見ているよう。衝撃作品(!?)もあり、このビジュアルの独特な美しさはずっと記憶に残りそう。燃やした白い炎が特にきれいでした。このビジュアルのバックに流れる音楽が、不安をあおり見事マッチしてて不安定な美をうまく表現していると思いました。

こういう世界悪くないです。でもハマりすぎて戻ってこれなくなると怖いものがあるな、と思ったけれど、時々現実に戻されるシーンが差し込まれていて、これは監督がわざと話の腰を折るように入れたんだろうか、と推測。そこまで考えて作れていたら、と思うとちょっと怖いですね。

結局シマーの正体ははっきりせず、意味不明な部分多いですが、インパクトを残した一本です。そして最後は『エクス・マキナ』に続き、監督らしい終わり方だと思いました。


20.05.21

『サバイバー: 宿命の大統領』シーズン1〜3


おうちでドラマを見るのは多分普通なのですが、"映画館で映画を見る"代わりにつけてみたタグで、見た感想を書いていこうと思います。ネタバレあると思うので未見の方はご注意です。

アメリカのドラマ『サバイバー: 宿命の大統領』を見ました。

シーズン1/21エピソード(2016年 - 2017年)
シーズン2/22エピソード(2017年 - 2018年)
シーズン3/10エピソード(2019年6月)
(シーズン3のみNetflix製作、NetflixはS1〜3全話配信)

物語の始まりは、突然、国会議事堂が爆破され、キーファー・サザーランド演じる、トム・カークマンが指定生存者で大統領になるところから。このテロ事件の謎をおっていくのがシーズン1。

自分のあずかり知らぬところで指定生存者となり、大統領になってしまったトム・カークマン。初めは逃げ腰だったけど、自分の正義と持ち前の誠実さで、周りのスタッフを引きつけていく過程が、およそアメリカらしくないおとなしめの大統領で意外でした。

シーズン1では、何度も失敗しながら主犯を追い詰めるところの緊迫感がすごい! 一番緊張したのは、元FBIのジェイソン・アトウッドが、主犯とされるパトリック・ロイドの隠れ家で、ホワイトハウスにいるスパイ議員を目撃し、その映像を送っているときに見つかってしまうところ。絶体絶命! あとでハンナ・ウェルズがそのメイルを確認するのが切なかった。

あと、視聴者だけがスパイだとわかってて、もどかしいところとか、逆にミスリードを誘ってこっちが犯人か!というどんでん返しもあり毎回おもしろく見てました。

シーズン2になると、国会議事堂爆破テロの問題は別の波紋を残しながらも、一応解決ということで、問題は短期ものに移行した感じに。一人主要人物が突然亡くなるので、カークマンがいつまでもそれを引きずってしまい、のちにそれが致命的なことにつながるのですが、人格がキツくなってしまうのがちょっと残念。でもこれがリーダーシップなのかな。

シーズン2の3話で「感染症の勃発」という謎のウィルスの題材があり、警告をするひとりの科学者の言葉は、まるでリアルで起こっていることそのままでした。なんというか、ドラマの中の方が平和というかお気楽と感じてしまう、現実。

2では、癖のあるキャラ、リオ・ブーン政務官が登場するのですが、中野泰佑さんの吹き替えの声が抜群にあってました。大塚芳忠さんの声をさらに高くしたような感じで、いかにも頭の回転が早いという説得力のある声です。シリアスでピリピリした場面でも、彼の躊躇しないものいいは雰囲気を和らげる役割がありました。

シーズン3は選挙運動ととにかく多様性のようなことがテーマで、あらゆる問題提起の題材が仕込まれている感じで、実際の国民の声だと最後にことわりがあり、よりリアルでした。大統領ますます強気のリーダーシップを取るし、これがアメリカの目指す大統領の姿なのだろうなと。

2の時の主要キャストがしれっといなくなっているのは残念。シークレットサービスのマイク好きだったのに。日本語吹き替えの杉村憲司さんの声も好きでした。

大統領の陰で働くハンナ・ウェルズの存在はすごく大きくて、第二の主役と思って見てました。シーズンが進むにつれてホワイトハウスとの距離は離れていき、最後はショックでした。

3は話的にはよく取材されていると思うし、出来も良かったと思いますが、個人的には1の謎が解明されていく過程が一番盛り上がりました。

20.05.14

TBS金曜ドラマ『アンナチュラル』(2018.1〜3)


おうちでドラマを見るのは多分普通なのですが、"映画館で映画を見る"代わりにつけてみたタグで、見た感想を書いていこうと思います。ネタバレあると思うので未見の方はご注意です。

金曜ドラマ『アンナチュラル』を見ました。こちらは2018年1月〜3月に放送されていたTBS金曜ドラマで、現在Paravi 他で配信中です。

1話の「Unnatural Death #1 名前のない毒」に興味を惹かれて見始めましたが、結局全10話おもしろく見ました。

【イントロダクション】(公式よりコピペ)
主人公・ミコトの職業は、死因究明のスペシャリストである解剖医。
彼女が許せないことは、「不自然な死(アンナチュラル・デス)」を放置すること。不自然な死の裏側には、必ず突き止めるべき真実がある。偽装殺人・医療ミス・未知の症例…。しかし日本においては、不自然死のほとんどは解剖されることなく荼毘に付されている。その現実に、彼女は個性豊かなメンバーと共に立ち向かうことになる。
このドラマは、新設された「不自然死究明研究所(UDIラボ)」で働く人々の人間ドラマを中心に描きながら、毎回さまざまな「死」を扱いながらも、スピード感と爽快感を持って、「死」の裏側にある謎や事件を明るくスリリングに解明していく、一話完結型の法医学ミステリーである。

UDIラボは架空機関でしたが、法医解剖医は実在するとのこと。

1話はある男性の不審死の解剖から、未知のウイルスが発見される話。発見されたその瞬間から解剖医がとった厳戒態勢への行動が、いま見るとかなりリアル。消毒するところとか、感染経路をたどるところとか。

施術中に装備するフェイスガードは、マスクした顔上半分に上向きに開いた状態で着いていて目を守っているような形でした。ニュースで見るのはフルフェイスですが、やはり解剖の現場もこういう透明なフェイスカード必須なのだなと見ながら思います。

このドラマでおもしろかったのは、一度問題が解決したかのように思わせて、あとから一転して別の答えが出て来るところ。外国へ出張して買って来たお土産のお菓子から感染かと思わせておいて、実は国内で作られたウイルスが漏れちゃった、みたいな。

解剖医同士の信念の行き違いも、それぞれ過去の出来事と関係しあっていて、この人間関係に大事なものとは、と思いながら、ついつい見てしまいました。

石原さとみさんすごくかわいいし、市川実日子さんと、『シン・ゴジラ』コンビだと思って見てたけど、同僚役同士の三澄ミコトと東海林夕子の自然なやりとりがすごく好き。市川実日子さんは、内側から溢れ出るオーラがすごくて、この方は肌をたくさん出した方がいい気がしましたが、さすがモデル出身でした。

20.05.11

『コンテイジョン』


アカデミー賞® 受賞監督スティーブン・ソダーバーグ(『オーシャンズ13』『トラフィック』)が、豪華キャストで描くパニック・スリラー超大作!【恐怖】は、ウイルスより早く感染する 『コンテイジョン』を見ました。

監督 :スティーブン・ソダーバーグ/2011年 アメリ

【あらすじ】公式よりコピペ
香港出張からアメリカに帰国したベスは体調を崩し、2日後に亡くなる。時を同じくして、香港で青年が、ロンドンでモデル、東京ではビジネスマンが突然倒れる。謎のウイルス感染が発生したのだ。新型ウイルスは、驚異的な速度で全世界に広がっていった。
米国疾病対策センター(CDC)は危険を承知で感染地区にドクターを送り込み、世界保健機関(WHO)はウイルスの起源を突き止めようとする。だが、ある過激なジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽る。その恐怖はウイルスより急速に感染し、人々はパニックに陥り、社会は崩壊していく。国家が、医師が、そして家族を守るごく普通の人々が選んだ決断とは──?

今の混乱に酷似と聞いて『コンテイジョン』見たら、怖いぐらいそのまんまでした。毎日おこっている、潜伏期間を経た感染率、死亡者数、ほとんどそのまま! そしてネットの配信がきっかけでお店に列をなす町の人々……。人間の恐怖心から起こる病院や街のパニック映像は、まだ自分の周りでは見ないけれど一人がやり始めたら我も我もとなりそうで怖いものでした。

主役だと思っていた人が中盤で亡くなって動揺しました。誰でもありうるという現実を突きつけられたような。メインキャストそれぞれの立場の人間関係も複雑で、より現実味が増しました。本当の善人とは、とも思ってしまった。

感染は知れば知るほど恐ろしく、自分を含め、一般市民は愚かしい。
リアルでワクチン開発の中の人たち、リスクを負って医療事業に携わっている方たちに、本当に感謝します。

20.04.19

『復活の日』


小松左京が1964年に書き下ろし、1980年に劇場公開されたSF映画『復活の日』を観ました。英題は“Virus”。監督深作欣二、撮影木村大作。日本映画。

【あらすじ】公式よりコピペ
MM88・・・その細菌兵器によって全世界はパニックとなり、人類は死滅した・・・・
氷に閉ざされた南極大陸に残された863人を除いて・・・・
1年後、南極で地震研究を続けていた吉住は、アメリカ東部地震を予測。その影響で今も地下に眠り続けるミサイル自動報復システムが作動し、南極大陸をも含め全世界をミサイルが飛び交うことになる。阻止の為、カーターと共に潜水艦で廃墟になったワシントンに向かうが、寸前に突発地震によりシステムが作動し、ミサイルは発射され、世界は2度死ぬ。
奇跡的に助かった吉住は一路の光のある南極に向けて南に歩きはじめた・・・。

劇中の字幕文字より抜粋

初めは通常の風邪とほとんど変わらぬそうです
それがたちまち肺炎になり
他の症状を併発して
いままで見たことのない…
何かべつの…

勧められるまま見たけれど、ドラマ仕立てにはなっているものの、現状とかぶる場面が多くて驚きです。医療崩壊の場面はゾンビ映画さながら、こうならないことを祈るばかり。

南極の人たちは国を超えて協定を結び一つの国家を作るのですが、男女比の女性が少なすぎて(3桁:1桁だったと思う)、もめた会議、女性は誰と子供を作るのか協議で決められるという、閉鎖空間ならありうる展開だなと。

世界が2度死んだ後からが、本番。ちょっと中だるみっぽい長さを感じたりもしましたが、絶望の中に一筋の光がさす、さいごの海岸での場面が、映画のタイトルを再認識し、生きようとする生命の力強さを大きく訴え、草刈正雄さんの熱演で感動のラストシーンでした。



20.04.19