カエルニッキ

ド・ザイナー。

『トータル・リコール』


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ポール・バーホーベン監督、アーノルド・シュワルツネッガー主演の1990年に公開されたSF映画のリメイク版『トータル・リコール』を観てきました。監督は『ダイ・ハード4.0』などのレン・ワイズマン。ネタバレあるかも。

リメイク版とはいえ、大きく設定が違うところもありました。ポール・バーホーベン監督版が、地球支配下にある抑圧された火星の植民地から、ヒーローが誕生するものだったのですが、リメイク版は、人間が住めるのは地球上に2箇所だけで、グレートブリテン(現在のイギリスのあたり)と、その支配下にあるコロニー(オーストラリアのあたり)のみとなっているのでした。

この二つの国は、地球のマントルを通るフォールというトンネルで繋がっていて、これがグレートブリテンの大きな支配力の象徴と言えるものでした。コロニーに住む労働者たちは、毎日このフォールを通って、地球の反対側のブリテンへ働きに通っているのです。このトンネル、中心部を通るときは“重力反転”がおこるのですが、なんか小さいころに夢見たようなSFトンネルを実現していたのが、ワクワクです。

360度方向撮影からの射撃バトルや、磁気で空中を走る自動車の室内の空気感のリアリティや、いくつもの動くエレベーターボックスでのバトル、水のたまったところの水しぶきを上げてのバトル、何かと光線が横に走る画面、もう監督は大好きなSFの場面をたくさん集めたのかと思うぐらいそれは見事に盛りこまれていて、いわば、SF全部入り的なお楽しみ映画になっています。

ポール・バーホーベン版のオマージュもときどきあって、オリジナル版を知っている人を、ミスリードに誘うような仕掛けもあり。ひっかかって苦笑い。

いろいろ遊びもはいってて楽しいですが、ストーリーの方はオリジナル版とほぼ同じ。面白みがないといえばないです。ストーリーでこの映画の評価が落ちているかもしれない。

だけど、クエイドが過去の記憶を引き出すために、ようやく会えたテロリーダー(名前失念)が「過去の記憶など必要ない、心は今を求めている」みたいなことをクエイドに言っていたのが印象強かった。そのあとすぐ撃たれて死んじゃうのだけど。この言葉を言うために出てきたのだなと思います。

内容は単調なストーリーだけれども、SF視覚効果は抜群に盛り込まれているので、そういうの好きな方にはオススメ。