カエルニッキ

ド・ザイナー。

『言の葉の庭』


(C) Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
新海誠監督最新作『言の葉の庭』を観てきました。水の描写がもうすばらしかった! こんな雨の日見たことない。雨の日だけの逢瀬とは、なんて禁欲的で、愛おしいものだろうか。

少ない言葉の中にも会いたいと相手を思う気持ちと、目を見張る美しい風景と共に流れる、時間の経過の表現は、新海作品のもっとも好きなところです。特に水の絵がすごい。水と言ってもしずく、水面、草花のしずく、みずたまり、いろいろな水が出てくるのですがどれにも魂が宿ってるかのように丁寧に描かれています。

恐らく、心理描写にも関わっていて、細やかなしずくが水たまりに落ちるシーンは、言葉を交わしたとき、心が動いたとき、いくつかの場面に出てきますが、足の寸法を測るときのはとびきり大きなしずくの跳ね返り。雨音はするけれど、静かで、だけど鼓動の高鳴りは激しいようで。切なさがいっそう切なくなる、愛しさがいっそう増してしまう、そんなふうに気持ちが動かされてしまいました。

愛欲に溺れず、ストイックに自分を高めるために打ち込める15歳に、完敗です。

この物語、思うに、恋愛している時としていない時とでは、この表現で感じ方がまるで違うのではないでしょうか。敏感になってる時は結構響く部分が多いと思いました。