カエルニッキ

ド・ザイナー。

『アリスとテレスのまぼろし工場』


『さよならの朝に約束の花をかざろう』に続く、岡田麿里監督作品第2作目『アリスとテレスのまぼろし工場』を観てきました。感想にネタバレあるかもしれませんので、未見の方はご注意です。

予告でどろどろした恋愛劇のようなセリフがあるので、今回は昼ドラみたいな恋愛ものか、と思っていたのですが、蓋を開けてみたら、まるで意味が違っていて、まんまとミスリードされてました。
どろどろ思春期描写は、今作ではマイルドだった感じがします。(予告を見過ぎかもしれません)

工場が爆発してから、時間が止まった町に住む人たちは、この町から出たい、未来に進みたい、そんな気持ちを持つと、何かわからない大きなオオカミの力が働いて、消滅させられてしまいます。同時にオオカミはその町を守っているようで、どちらがいいのか考えてしまうお話です。

そういう意味で「生きる」とは、何度も問いかけてきて、段階的に気持ちの揺さぶりをかけてくる、セリフと描写が細かくて濃密。人生の尊さが際立つ一作です。

主題歌の中島みゆきの「心音」の歌詞がダイレクトなので、見たあと意味を知って結構グッときます。

似てはいないのですが、新海誠監督の『君の名は』と並ぶ名作だと思います。似てる話ではないけれど、むしろよく似せないで作られたなという感じ。

終始感動していたのが背景美術の作画。工場と鉄道の美術だけで一冊本が出せそう! そしてアリスとテレスはどこに!

23.12.09