カエルニッキ

ド・ザイナー。

『アナイアレイション -全滅領域-』吹替版


『エクス・マキナ』(2015年)に続くアレックス・ガーランド監督・脚本映画『アナイアレイション -全滅領域-』(2018年)吹替版(リンク先はNetflix)を観ました。感想にネタバレあるかもしれませんので、未見の方はご注意です。

このハラハラとモヤモヤと進む感じは「エクス・マキナ』の監督と聞いて納得。やっぱりモヤモヤしますw このモヤモヤがけっこう好き。

あるていど異世界の生物ものを見ていたらだいたい察しがつくであろう、この生態系エリア。中心部に行くにつれて危険度と緊張感の濃度が高くなって行くこの興奮は期待を裏切りません。

途中、襲ってきた熊のようなイノシシのような凶暴な生き物のクリーチャーデザインは結構な迫力で、襲われた女性の最後の叫び声を受け継いでしまうとか、切ない設定。もしかして取り込んだ方は、意志の強く残ったところを受け継いでしまうのか。ちょっと哲学的です。

ケインが最後に"レナのところにもどる"思念をコピーに託したところ、無感情でただレナのもとへ向かうコピー。切ない。

この異世界の生物シマーは、宇宙から来たみたいだけど、侵略目的はないというのが劇中で言われるのですが、確かに本当にただ、存在しているだけ、生きるために生きている存在と言え、とても静かなホラーです。

コアな部分に近づくにつれて現れる、複雑に繁殖した世界は、艶やかで美しく、アート作品を見ているよう。衝撃作品(!?)もあり、このビジュアルの独特な美しさはずっと記憶に残りそう。燃やした白い炎が特にきれいでした。このビジュアルのバックに流れる音楽が、不安をあおり見事マッチしてて不安定な美をうまく表現していると思いました。

こういう世界悪くないです。でもハマりすぎて戻ってこれなくなると怖いものがあるな、と思ったけれど、時々現実に戻されるシーンが差し込まれていて、これは監督がわざと話の腰を折るように入れたんだろうか、と推測。そこまで考えて作れていたら、と思うとちょっと怖いですね。

結局シマーの正体ははっきりせず、意味不明な部分多いですが、インパクトを残した一本です。そして最後は『エクス・マキナ』に続き、監督らしい終わり方だと思いました。


20.05.21