カエルニッキ

ド・ザイナー。

映画『3月のライオン』後編


映画「3月のライオン」後編を観てきました。ネタバレになる箇所がありますので未見の方はご注意です。

原作がまだ続いている中で、実写は完結編をつくらなければならなく、やむなく設定を変えざるを得なかったとは思いますが、実写版3月のライオン、それぞれの一手に踏み込む実写ならではの熱い物語に完成していました。

物語の収束に向けて先人を切ったのは、ひなちゃんのいじめ事件。まっすぐな一手を放ち、小さいころの零くんを救ってしまいます。

その後に続くのはあかりおねえちゃん。ひなちゃんのいじめの件から、一歩踏み出して、捨男(そとに女と子供を作って家を出て行ったけど、失業して社宅を追い出されそうだから、外の家族ごと面倒も見てもらおうと、一緒に住もうよと戻ってきた父親)にキッパリと言い放った覚悟の一手が、凛々しかった。

たびたび零くんの家に顔を出してはかまってちゃんの香子が、うまくいかないのは全部将棋のせいにしていたことに、幸田パパが、静かに諭す一手が感動でした。このあと香子が前向きになるものいい。幸田パパはそのあと零くんにも、契約を交わした葬儀場でのことに触れますが、実写オリジナル部分が原作にもそっと寄り添って、うまくふくらませたいい部分だと思いました。

そして因縁の後藤9段に奮闘する零くん。零くんも捨男の一件と後藤との因縁対決? を心に抱えての一局だったのですが、途中で気づいたのですが、どっちも女がらみだった! そんなことは今はいいんですけれど、後藤との対局シーンにはかなり重点を置いていて、凄まじい気迫場面でした。

将棋の駒を盤に放つ瞬間、後藤が、零くんが、一手を放った心理が伝わってくるものです。どういう局面か盤全体は見えなくても、今の一手が決め手になったことが分かるようになってて、それがすごい気持ちいい。実写だから作られるその熱量がみるみる伝わってきました。

限られた時間内に、エピソードや人物のあれもこれもはもちろん無理で、潔く絞りつつも映画仕様にエンタメ性も組み込んでよくまとめられていたと思います。劇中の後藤の気迫もすごかったけど、後編でのMVPは幸田パパにあげたいです。幸田パパのおかげで実写版はとてもいいお話につながったと思います。


後編入場特典で、羽海野チカ先生の、名シーンイラストポストカードを頂きましたよ。