カエルニッキ

ド・ザイナー。

『パトリオット・デイ』


俳優でもあるピーター・バーグ監督最新作、『パトリオット・デイ』を観てきました。これから書く感想文は映画的ネタバレ? もあるかと思いますので、未鑑賞の方はご注意です。

2013年4月15日に起こった、ボストンマラソン爆弾テロ事件の“たった102時間”で逮捕につながった逮捕劇を映画化したものです。実話をもとに作った映画とはいえ、多少ドラマチックに装飾しているだろうなーというイメージを持ちつつ観たのですが、思ったよりもリアリティを感じつつ、スリリングもあり、わかりやすくまとまっていたと思います。

【ざっくり概要】
2013年4月15日現地時間の14時45分頃、ゴール付近2箇所で爆発、3人が亡くなり、183人が負傷。爆弾を仕込んだ容疑者は、2003年頃にアメリカに移民したチェチェン人の2人兄弟。

物語はゴール付近の警備にあたっていて現場に居合わせた、ボストン警察巡査部長視点で、時系列でお話が進んでいきます。途中、若い夫婦や、小さい子を連れている父親、中国系の青年、大学の研究生と警備にあたる警官、などなど、全く無関係と思われる人物と人間関係が同じ時系列で登場します。

はじめはわけがわからないまま見ていくのですが、そのうちどの場面でクローズアップされる人物なのか、というのが分かってしまい、それがまた切ないです。

そのなかで、部屋で静かに圧力鍋に釘を入れて爆弾を作る、ネット動画を観ている青年兄弟のシーンがさりげなく出てきて、ちょっとゾッとしました。それまでの人たちの描写とは明らかに、何を考えているのかわからない人たち、という空気の違う描写だったので、見ている方からしたら一発で、この人たちか。と察してしまいます。

事件後の捜査展開が、ひとりの警官が戦うアメリカンヒーロー的な描写はもちろん商業映画として必要な部分があると、そこを踏まえても、アメリカ捜査網すごい! に尽きました。

FBIと警察の捜査網はもちろんですが、恐らく911以降、テロに屈しない市民意識の団結力が強かったのではないかなと、映画でも強く感じるところがありました。極端ですが捜査のためには手段を選ばないところ、多分日本では人権がどうのとかでやらなさそうなのですが、外出禁止令など、気持ちいいぐらいにボストンは徹底してました。

それが、この映画のタイトルにも繋がっているのだと、見終わった後に納得です。

最後に被害者、加害者、関係者の実際の人物ショットが流れるのですが、容疑者の動機は、わからないまま。容疑者の正義はあるのだと思いますが、はっきりわからないまま、もやもやが残るのは、実話ならではでしょうか。

ところで、まったく個人的な視点なのですが、前々から似てるよなぁと思ってた、巡査部長のマーク・ウォールバーグと、FBIのケヴィン・ベーコンが共演してて、すごく、良かったです! 好きなんだよなぁこのふたり。他のキャスティングも個性派ぞろいで贅沢映画でした。