カエルニッキ

ド・ザイナー。

「向こうなら生きて行けるの」

第六話「露を吸う群」『蟲師』第六話「露を吸う群」は、一種の麻薬の話で、魅力的でもあり、とても恐ろしくもあった。その蟲の一生は人間の一日。その蟲に寄生された人間は、その蟲の時間で生きることになり、見た目はふぬけの状態。朝に起きて、夜に息絶える。夜のうちに身体の中で蟲が新しい命を引き継ぎ、寄生された人間は翌日また新たな気分で目覚める。一度は寄生されていたところ、ギンコにより蟲を取り除かれ、正気に戻ったあこやが言った言葉が印象的だった。

「恐ろしいの。目の前に広がる、当てどない膨大な時間に足がすくむ」

ギンコにそれは蟲の時間で生きていたからだと指摘されると、蟲の頃をこう答えた。

「一日一日、一刻一刻が、息をのむほど新しくて、何かを考えようとしても追いつかないくらい、いつも心の中がいっぱいだったの」

うわ、すごい! うらやましい! 日常にある人間関係のいざこざとかいちいち考えてられなさそうで、いいな。カエルは、いちいち受け止めてしまうから、それがうらやましいと思った。

ギンコもゆっていたけれど、生涯脈打つ回数は早いか遅いかだけで、みんな同じらしい。ドキドキした分だけ寿命が縮んでいるのか。まあ、寿命はいいとして、この現実を生きていくから、できれば毎日笑ってすごせるようにしたいな。否定的な考えや、ひがみや、ねたみにも平気になりたい。