カエルニッキ

ド・ザイナー。

劇団イナダ組 『シャケと爺と駅と』千秋楽


シアターサンモールで公演中の劇団イナダ組 『シャケと爺と駅と』千秋楽に行ってきました。


ご存知、水曜どうでしょう藤村D出演の、イナダ組のお芝居は、これで見るのは3作目。HTB社員の傍ら、毎年出演とはすごいと思います。


毎度のことなのですが、 本編始まる前に突然トークタイムがあるので、早めに入りました。予想通り、イナダさんと、うれしーこと、これまたHTB社員である嬉野D登場。二人は舞台セットのベンチに座り、前説談義として、本編のロケーションなどサラリと説明してくれました。北海道は旭川のさらに北の町の廃駅でのお話とのこと。すでにお芝居観る前から楽しい。撮影は許可いただきました。

うれしーは本編には出ていないけれども、友情出演的に駆けつけていて、恐らく多いであろう観客の中にいる藩士たちへのサービスの一環なんだと思います。お芝居の衣装にどうでしょうTシャツや、どうでしょう前掛けがあったりして、それだけでクスクス笑いが起こっていました。

そしてお芝居。芝居観て久々号泣です。前半大笑いだったのですが……。題材が認知症でした。武田晋さん扮する、かつて駅長だった、老い父親認知症の行動に翻弄される家族のお話なのですが、全く他人ごとではない内容ででした。きっかけは、おばあさんが脳梗塞で倒れたところから、徐々におじいさんに認知症の症状が見え始めます。

でもこれは最初全然わかりにくいのです。おじいさん視点からだと、かつての若かりし頃の駅の風景が展開され、とてもリアルで、シャケもらったり、ファンタジーかなって思うのですが、終盤にグサリと現実を付きつけられるのです。

観客はずっとおじいさん視点から見ているので、薄々分かってはいるもののこれがショッキング。そのショックな言葉を発するのが藤村D。強い言葉に乗った迫力があって、圧倒されました。声はもともと通るいい声なんですが、胸を打たれる衝撃がありました。後ろの席の男の子の嗚咽が聞こえてきました……。

ときに、武田晋さんの奔放な話し方が、時に情けなくて、時に愛おしくて、武田さんの力の抜けたお芝居ホント好き。

何度も繰り返されるセリフに、「最近昔のことばかり思い出す。覚えておかなくちゃいけないことは忘れてしまうのに」というふうな言葉があります。厳しい高齢化社会問題の小難しいような内容ではなく、なまじ、ごく自然に身近にあるお話として描かれているものだから、受け入れやすく、悲しい現実だけど、あらがえない。うまく言葉に表せないけれども、経験されている人には独特の感情が湧いてくるところだと思いました。


イナダ組3作品見た中で、大きく胸を揺さぶられたお芝居で、間違い無く一番印象強く残るお話でした。


作・演出 イナダ
出演
藤村忠寿 武田晋 山村素絵  吉田諒希
HIROKI(EverZOne) 赤谷翔次郎(パインソー) 
藤谷真由美(パインソー) 池江欄 KEI(EverZOne)白鳥雄介  
佐藤剛(イントロ) 葉山太司(飛ぶ劇場)

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