カエルニッキ

ド・ザイナー。

自分だったらどうしただろうと思わずにはいられない『運命を分けたザイル』

『運命を分けたザイル』タイトルを聞いただけで震えが来てしまった映画、『運命を分けたザイル』を観てきました。思ってた以上に壮絶でした。というか、誰もが想像をしえない映像だったと思います。骨折しても、あんな氷と氷の隙間に落ちても、何よりも生きることへの執念がすごかった。ザイルを切ったのも、全ては決断と行動にありました。

これはそれまで成功した例のない、アンデスの氷の壁に挑んだ、二人のイギリス人クライマーの実話をもとに作られたドキュメンタリー映画です。実際遭難した山へ行き、常に危険を伴って撮られた貴重な映像です。目の前にどこまでもそびえ立つ氷壁、山並みから巻き上がり次々と形を変えてゆく雲。これはプラスチックの氷のセットでは伝わらない、そう考えた監督もまた、決断と行動の精神のシトでした。話は実際の人物の回想と絡ませて、生々しくとても重みのある映画になってます。

生き抜くためにあきらめない決断と行動。体力が弱って来た時に襲いかかる強烈な孤独感。スケールでは比にならないけれど、カエルも山での下山中、何度か怖い思いをしました。降りられない。でも無事に帰るには下山するしかない。その覚悟を決めた時の精神状態というのは、すごく研ぎすまされたような感じがします。大げさだけど、まだ生きているという実感が溢れてきます。それは絶望的な反面、希望に満ちた部分もあるとても不思議な感覚です。

下山し終わり無事帰還した時には、下界の安全な安堵感に包まれ、思わず涙が流れることも。無事で帰ってこられた何かに感謝せずにはいられません。でもまたしばらくすると、懲りずに登りに行ってしまいます。この映画を観て外へ出たあとも、同じように安堵感がありました。観ている間ずっと体が硬直してたようでした。生きてる実感が得られるおススメの一本です。

見終わった後に、どこかのカップルが「専門用語でわかんないところがあったね」と話していたのを聞きました。パンフレットに専門用語解説が書いてました。観る前に専門用語だけチェックしておくのもいいかなと思いました。