カエルニッキ

ド・ザイナー。

『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』


『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』を観てきました。予告でグーグルアースが出てきたので、ちょっと笑ってしまったのですが、本編は、予想外に家族の絆のいい話で感動的なお話でした。

実話を元に映画化したもので、日本のテレビでも取り上げられていたらしく、お話の結末は周知されているようですが、一応ネタバレあるかもしれないので、未見の方はご注意くださいませ。

サルーとお兄ちゃん、母と妹と、家族がすごく仲がいいのがもう冒頭で分かります。生活は苦しいけれど、お互いが思いやりを持ってる愛情たっぷりの家族像。牛乳のシーンは、保存しておきたいぐらい。

前半は迷子になった子どものころのインドが、強い印象を残してしまいました。全く日本で生活していたら想像絶する世界です。路上で生活したり、悪い大人に連れて行かれたり。子どもながら、本能で危険を察知する危機感と生きる力には、必死さが伝わってきて痛ましいです。

迷子になってから点々と施設に入るまでが辛かったのですが、運良くオーストラリアの養子縁組がきまり、生活が一転します。ここがすごい。あの雑多なインドの世界から、一気に文明の利器でオーストラリアに移動したのは、時空をワープしたかのような大きなギャップで、心が置いてきぼりになりそうでした。

一変して豊かな生活。数年後学ぶ目的を持ったしっかりした青年に育ったサルーが、ある日予告で見たように迷子だったことを思い出します。そこから家族を捜索する日々が始まるのですが、ふたりの親を持ったことがないので、サルーの気持ちに共感はあまりできなかったのですが、“家族が今でも自分を探している”という確信が、家族の絆がどれだけ強かったか、ここで伺えます。

実際、サルーが戻ってくるかもしれないので、母親は引っ越さなかったそうです。

単身インドにわたり、自分の住んでいた家を訪ねていく時に流れるのは、兄と一緒だったチョウチョが飛び交う場面だったり、家の近くになった路地だったり。子供の頃の視界と、大人になってからの視界の対比が緊張感をあおっててよかったです。

最後は実際の映像が流れて、服装の写真なども出てきたのですが当時の再現をしていて、かなり事実に近づけて作られていたようでした。実際にあった話となるととても感動します。ネットでチラリと書かれていたことですが、現在、サルーは、養子縁組を紹介してくれたところの活動を広めるお手伝いをしたいというようなことを言ってるそうです。


17.05.03