カエルニッキ

ド・ザイナー。

『桐島、部活やめるってよ』


(C) 2012「桐島」映画部 (C) 朝井リョウ / 集英社
『桐島、部活やめるってよ』を観てきました。原作は平成生まれで初の小説すばる新人賞を受賞した、朝井リョウ早稲田大学在学中のデビュー作。

タイトルの桐島は本編には現れず。バレー部キャプテンの学校内でのカリスマ的存在らしい桐島くんは、部活をやめるだけで、周りの生徒達を翻弄させていきます。桐島を中心に回っていた日常が、わらわらと崩れていく人たち。人物ごとの視点で、同じ時間を描き反復させる方式は、各登場人物の葛藤する繊細な部分に深く斬り込んでいき、これがまたオトナになった自分には甘酸っぱくて! きっと、誰でもよみがえるガラスの青春がそこにある。

教室という格差社会の中で、桐島くんに翻弄されている人達とは別の世界にいるような映画部部長が、結局何らかの形で影響を受けてしまう展開が、こっけいで、シュールで、おもしろい! 最後の学校の屋上でのラストシーンは、いいぞやれ! みたいな痛快さ。こんなにおもしろくできるなんて映画部部長は天才か。

場面はほとんど校内だったのだけど、ロケは高知県の高校らしく、渡り廊下とか、屋上から見えるちょっとしたバスケの出来る広場とか、野球部のグランドを見下ろすベンチとか、趣きのある校舎が更にノスタルジーを誘っていました。