カエルニッキ

ド・ザイナー。

『ジュピターズ・ムーン』字幕版


『ジュピターズ・ムーン』を観てきました。SF映画かと思って見たらかなり異色で……。

『ジュピターズ・ムーン』というタイトルは、木星の月=エウロパ=ヨーロッパ、ということらしく、木星というタイトルと、ちょっと浮遊というワードで想像したSF映画とは全く違う、シリアからハンガリー密入国した現実難民の社会派映画でした。

とにかく追われる身の、浮遊難民アリアン、そして医療ミスで全てを失った医師シュテルン。善人なんていないんじゃないかという、無慈悲な出来事が次々に起こります。ハンガリーとドイツの製作らしいですが、ハンガリーの街って、こんな人が金で阿吽の呼吸で動くのかと驚きました。

アリアンが浮かぶシーンはよろよろしていて、でも神々しくて目を見張ります。重力を操るというヒーロー物にはない怪しい動きがかえってリアルで印象的。この映画予告と同時に、メイキングも見ていたのですがCGではなく実際に動かしていたので大変興味が湧いたものでした。ハリウッドとは全く違う、ハンガリーの映画の作り方を見られてよかったです。

ちょっと宗教色が強かったかなと感じましたが、それは日本人だからでしょうか。深刻な難民問題で、でもどうすることもできない無情なときに、やっぱり神様の存在は大きいのだろうなと想像するしかなかったです。

ちょっと前に見たアキカウリスマキ監督の「希望のかなた」とはまた違うアプローチでした。SF要素も宗教要素もありますが、難民問題に興味ある人にはかなり響く映画だと思います。