カエルニッキ

ド・ザイナー。

『スティーブ・ジョブズ』


(C) Universal Pictures (C) Francois Duhamel
ダニー・ボイル監督最新作『スティーブ・ジョブズ』を観てきました。すごい密度です! 感想書いていくつもりですがあらすじもあり、どこまでがネタバレになるのかわかりませんのでよろしくおねがいします。

映画の内容は、1984年「Macintosh」、1988年「NeXT Cube」、1998年「iMac」の3つの製品のブレゼンを前にした裏舞台劇の3部構成になっていました。本番直前までの、分刻みにおこるあらゆる問題と対面してたジョブズ。ほとんどが会話メインの長回し状態で、ものすごい情報量です。大体の有名なエピソードを知っていると、その伏線が色々出てきて、話が繋がっていきます。

Macintosh発表会の本番直前。
できないって言ってるのにハローと言わせることにこだわっていた。プライベートの問題も暴言はきまくり、そんな会話をしている中にも、3.5インチフロッピーが入る胸ポケットの付いた白いワイシャツを着る発想が浮かび、急遽用意するように指示する。ウォズが発表会の時にApple IIを作ったメンバーに謝辞をするように言いますが、けして聞こうとはしません。横暴な中でもその眼に見えている未来を信じて、決して曲げない若くて勢いのある頃のジョブズがそこにいました。

そして、場面はAppleを追い出され、NEXT会社設立後の発表会の直前の舞台裏。そこでNEXTのある真実が明かされます。

そこからApple復帰、ボンダイブルーiMac発表会本番直前の舞台裏。またまた多くの問題を抱え、対面するのですが、かつてのMacintosh発表会の頃のジョブズではないことに気づきはじめます。リサとの和解、スカリーとの対話でおとなになったなあと思う反面、でもやっぱりウォズのお願いは聞いてあげられなくて……。

すべて3場面とも舞台裏で構成されていて、実際の表のプレゼンは皆さん見てるだろうということで、すっぱりカットされています。なので、ちっとも気持ちいいところがないです。その部分は脳内で補完しました。

誰もがプレゼンシーンあったら気持よかっただろうに、ジョブズのように無駄はバッサリ切るかのように、あえてプレゼンシーンを出さなかったダニー・ボイル監督の潔さに感服。ニクイ。

前に見た『スラムドッグ$ミリオネア』はフラッシュバックが巧妙で、今回もジョブズが対面している相手との過去の思い出がフラッシュバックして出たり、何かをひらめいたときの表現が、説明っぽくならならないセンスのいいものでした。これは役者の人もかなり研究してたと思う。あ、ジョブズ!って思うしぐさがありました。音楽の見せ方も粋なはからいで、まさにこれが、ジョブズのやってきたスタイリッシュ感覚に近い、スマートな心意気を持った映画だと思いました。


入場に配られたクリアファイルにはソフトバンクの広告が入っていました。孫さん元気かなってちょっと思いました。


16.02.17