カエルニッキ

ド・ザイナー。

『グラン・トリノ』


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クリント・イーストウッド監督・主演の『グラン・トリノ』を観てきました。朝鮮戦争の帰還兵だった頑固な老人ウォルトが、隣に住むモン族のタオ少年としだいに心を通わすストーリー。

この映画を観て改めて思ったのだけど、監督のイーストウッドは本当の意味で愛国家だと思う。硫黄島2部作で話題を呼んだ『父親たちの星条旗』・『硫黄島からの手紙』でもそうでしたが、偏った視点からではない部分が、高い精神レベルを伺わせます。そしてこの主人公のウォルト老人の後世に伝えたいことが、監督自身のメッセージなのだなあとひしと感じました。

特に難しい表現も、派手なアクションもないのに、住宅街のごく日常のなかでおこる人間関係を、とても深いところから引き出してきていて、それはとても厚みのある空間を作っています。

そうしてそれは壮大な最後までつきすすめられて、しめくくられる。終わったあと温かいものがじんわりきたら、少しは監督の意向を受け止められたのかなと思ったり。底知れぬ老人のパワーに感服した一本でした。